普通に会話ができるドラえもんの心のつくり方
たった一人で20年間研究した結果、ついに心がうまれました。
普通に会話ができるドラえもんの心のつくり方の表紙

星4.5129個の評価※

※2022年1月26日時点(amazonレビュー)

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目次のご紹介

第1章物理学 vs. 哲学 500年続く大問題

  • 1.1心なんて存在しない!(心身一元論)
  • 1.2脳と心は別だ!(心身二元論)
  • 1.3じゃぁ、どっちが正しいんだ!

第2章コンピュータを発明した天才数学者 アラン・チューリング

  • 2.1国に翻弄された天才

第3章誰も指摘しないチューリング・テストの意味

  • 3.1映画『ブレードランナー』とチューリング・テスト
  • 3.2チューリング・マシンとゲーデルの不完全性定理
  • 3.3ディープラーニングの構造的限界

第4章AIが言葉を理解すれば、仕事がなくなる?!

  • 4.1本当のシンギュラリティとは?
  • 4.2ロボマインド・プロジェクトは、他と何が違うのか?

第5章日本のAIの限界

  • 5.1『AI vs. 教科書が読めない子供たち』の大きな勘違い
  • 5.2日本からイノベーションが生まれない闇の構造

第6章世界一わかりやすいディープラーニング入門

  • 6.1東ロボくんの新井紀子教授の間違いが明らかになった日
  • 6.2ディープラーニングの根本問題

第7章読解力でも、AIが人間を超えた?!

  • 7.1GoogleのBERTが実際にやってること
  • 7.2BERTは本当に意味を理解してるのか?

第8章えっ、まだ、機械学習で出来ると思ってるの?

  • 8.1なぜ、大量のデータがあっても会話ができないのか
  • 8.2ビッグデータ神話

第9章言語学者じゃ絶対に分からない言葉の本当の意味

  • 9.1データより、もっと重要なもの
  • 9.2今のAI業界がやらかしちゃってること

第10章自然言語処理 あぁ、50年の勘違い

  • 10.1意味理解の完成まであと一歩?
  • 10.2会話に、本当に必要なものとは

第11章ついに解明、意味理解の手法

  • 11.1意味理解に必要なもの
  • 11.2言葉の意味をコンピュータで定義する

第12章言語学者が見ていないものとは

  • 12.1意味理解のアルゴリズム
  • 12.2言語の起源

第13章ウィトゲンシュタイン『論理哲学論考』 vs. 松本人志

  • 13.1奇跡の街、世紀末ウィーン
  • 13.2論考と松本人志と逆切れと

第14章暴走したAIを強制終了した、あの事件の真相

  • 14.1言語の本当の意味
  • 14.2独自言語で会話しはじめたAIの本当の意味

第15章ターミネーターの世界を生み出す最初のプログラム

  • 15.1AIと核兵器の決定的な違いとは
  • 15.2善悪はプログラムで定義できるのか
  • 15.3カントの実践理性批判のプログラム

第16章AIに必要なのは、羞恥心だ!

  • 16.1人間社会を作り出している最も強力な感情

第17章第五世代コンピュータは、なぜ、失敗したのか?

  • 17.1バブルに踊らされた技術者たち
  • 17.2言葉を理解する様々な研究

第18章そもそも意識って何?!

  • 18.1意識のある自分と意識のない二人の自分
  • 18.2現実世界を生きてるのは表の自分? 裏の自分?

第19章意識が生まれるまでは世界は存在しなかった?!

  • 19.1見えてる世界は幻想
  • 19.2そして、言葉が生まれました

第20章意識の仮想世界仮説

  • 20.1無意識さんのお仕事
  • 20.2人工意識をつくる
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amazonカスタマーレビュー

うさぎ the reviewer

アリストテレス並みの洞察力

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枝葉末節にこだわらず、ロボット工学、脳科学、哲学などの多数の学問を領域横断的に俯瞰できる著者の洞察力に驚愕しました。今まで誰もが当たり前だと思っていたことにメスを入れ、新しい学問領域が構築されていく様子が目の当たりにできて、なんだか古代ギリシャのアリストテレスを彷彿させられました。それでいて意識とは何か、日常会話ができるAIはどうしたら作れるかといった問題を中学生でもわかるように説明してくれています。Youtubeを見てみると正直どこにでもいそうなおじさんなのですが、こんなに人を見た目で判断すべきでないと痛感したのは初めてかもしれません。

著者は脳の神経回路と意識の関係を、コンピュータとプログラムの関係に喩えます。脳の神経回路をいくら調べてもその人が何を感じているかわからないのは、CPU内の電気信号をいくら調べてもスーパーマリオが動き回っている様子を見ることができないことと同じだというのです。このように心や意識はコンピュータで動くプログラムであると考えると、AIの心もプログラムで実現できるはずです。

しかし、今のAIは「オーストリアの首都は?」という正解が一つしかない質問に答えたり、将棋やチェスをしたりといったことはできますが、日常会話となると途端にちぐはぐな回答しかできなくなり、人間の心をもつというには程遠い状況です。AIが会話が苦手なのは、会話にはチェスや将棋にあるような明確な目的とルールがないからです。ですので、ドラえもんのようなAIを作るためには、会話の目的とルールをコンピュータにもわかる方法で定義し、それをプログラムに落とし込む必要があります。

会話の目的とは、「感情を伝える」ことだと言えます。
例えば、子供が母親に「今日給食でプリンが出たよ」と言うとき、「嬉しい」という感情を伝えようとしています。
母親は子供に「よかったわね」ということで、「嬉しい」という感情がちゃんと伝わったことを子供に伝えます。
(ここで、「今日給食でプリンが出たよ」という情報を「嬉しい」という情報に縮約し(情報量を減らし)、そこから発言者の次の行動を予測できるということが、文の意味を理解することだといいます。)

次に、以下のようにルールや心理パターンを定義する必要があります:

・生物のルール:すべての生物は不快を避け、快を求めるように行動する
・善悪のルール:人間社会においては、相手にプラスとなる行動をとるべきであり、相手にマイナスとなる行動をとるべきでない
・感謝:自分にプラスとなる行動を相手がとったときに発生する感情
・羞恥心:基本以下の能力しかないこと+他人の視線

こうした定義をプログラムに落とし込むことで、日常会話や社会生活ができるAIが作れるといいます。

18章以降では、一旦AIの話を離れ、そもそも人間の意識とは何か、という問題が検討されています。著者によると、人はそれぞれ意識に上ってくる自分(表の自分)と意識に上ってこない自分(裏の自分)をもっているといいます。裏の自分とは、センサーから入力された刺激に反応し、行動を出力する機能のようなものです。盲視の人が、スクリーン上の光の点が「見えない」と言うにもかかわらず、その位置を指すように指示されると百発百中で正答できるのも、このシステムのためだといいます。そして表の自分は、現実世界をそのまま見ているのではなく、この裏の自分が現実世界からの刺激を元に構築した仮想世界を見ています。人間の耳は数メートルも離れたら音のズレを聞き分けられるのに、100mも離れたところから花火を見ても、音と同時に花火が爆発するように見えるのは、この仕組みのためだそうです。第2巻ではこれらの仕組みを元に心のプログラムのつくり方が解明されていくようです。

私がざっくり理解したところはこんな感じですが、間違っていたらすみません。

Youtubeでは他にもクオリア、自由意志、夢、時間の概念の話など、脳の様々な働きを今まで誰もが気づかなかった切り口で、かつ矛盾なく説明されていて、目から鱗どころか啓蒙の連続です。著者の説が事実かどうか私に判断することはできませんが、少なくとも内的整合性は維持されているようです。「大きな謎を解こうとするのではなくて、当たり前の事実に気づくことの方が重要」という言葉がとても印象的でした。

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ちなみに、著者は犬には心がないと思っている、という批判があるようですが、それは言葉尻しか捉えていない揚げ足取りだと思います。確かに、犬には人間と同じ意味での心がないとは言われていますが、それは人間と犬とで世界の認識の仕方が違うということを意味するにすぎません。人間の世界認識の仕方が犬には想像できないように、犬の世界認識の仕方も人間には想像できないというだけのことです。だからといってわんこと人が家族になれないわけではありません。それに、著者は人間以外の哺乳類には感情があるともはっきりおっしゃっています。

“higo-mon”

すごく面白いです!AI開発の根本的問題から「意識=幻想」の衝撃理論まで。

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最近は、人口知能(AI)に将棋で人が勝てなくなったとか、AIの学習能力や処理能力がすさまじいとかニュースを見ながら、感心しつつも何か違和感を覚えていた自分がいました。「こんな優秀なAIが導入されても、処理や計算がすごいだけで、アニメの世界で見るような愛らしいロボットができることはないだろう。結局、アニメはアニメなんだろうな」と。

そんな時、本著のタイトルや目次に惹かれ読んでみたところ、その違和感の理由が完全にクリアになりました。

世界の技術者は、「一定の条件・ルールのもと」でハイパフォーマンスを発揮するAIの開発を進めてきたということ。そして、ディープラーニングなどの従来通りのアプローチでは、答えが1つではない日常会話・人間的コミュニケーションを成功させるには壁にぶち当たってしまうことなどが本著で語られています。

資金的にも巨大なAIのリーディングカンパニーが、AIの会話スキルに関してはピントのずれた方向で開発を進めているという切り口は実に新鮮でした!言われてみれば案外単純なことなのに、それになかなか気付けないものなんですね。

そこで、筆者が提唱するのが「感情(善悪・道徳)」にフォーカスしてAIをデザインするということです。「感情」を目的に会話できるようにするなんて、一見するとプログラム化するのは難しそうに感じてしまいます。しかし、本著で説明されていたように、何億個もの情報を覚えさせる苦労と比べれば、会話を成立させる心理パターンは意外とコンパクトな規模に収められそうですね。
固定観念で壁を作らず、一歩踏み込んで考えてみることの重要性を節々から感じさせてくれます。

そして、終盤の18章以降は、ワクワク度のギアがまた一段と上がります!SF映画好きの人なら待望の「この世界は虚構か現実か…」という人の意識・認識に関するトピックです。
といっても、フィクションではなく現実のサイエンスに基づいた話が展開されるので、なおさら興味津々で一気に読み切ってしまいました。
映画「マトリックス」好き、且つ夢や記憶で変わった体験をしたことがある自分としては、「世界=幻想」理論をここまでシンプルで科学的に説明してもらえるなんてありがたい限りです。

これだけの興味深い内容(且つ読みやすい)でありながら、最後まで到達すると「第二巻からは…」のフレーズ。あ、まだ始まりに過ぎなかったのですね!?ぜひ、続きも読み進めたいです!Youtubeチャンネルも並行して追っていきたいと思います。

アベノマスク(小)

YouTube動画と併せて読むとさらに理解が深まります!

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ロボマインドのYouTubeチャンネルのファンで、動画は以前から観ていました。
その研究の独創性とイメージしやすく楽しい解説に完全にハマってしまいました。
今回文章になったことで改めてじっくりと復習出来るので、嬉しい限りです。
これからも応援しております!

倉橋隼斗

難しい分野がわかりやすく解説されています

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本書の大きなテーマはタイトルにもなっていますが、人間と同等のコミュニケーションをとれるAIの開発についてです。本書の著者でもある田方篤志氏は人間と同じ心を持つAIの作成を目指す「ロボマインド・プロジェクト」という研究を約20年かけて行っていました。そして今、実際に感情を持って、言葉の意味を理解する、人間と同じ心を作っています。

本書は20年という歳月をかけてAIや心などを勉強、研究してきた内容がまとめられてあります。

私ははっきり言って人工知能(AI)についてそこまで詳しくはありませんでした。チェスや将棋などのボードゲームで人間に勝つAIが現れた、であるとか、将来職を奪われる可能性があるとか、漠然となんとなくの知識しかありませんでした。(実際はAIが人間の職を奪うことは今のところないと本書に書かれていて安心しました笑)

数学や医学、言語学や哲学などなじみのない方には非常に理解が難しい分野にも触れられていますが、専門用語は少なくて、どうしても専門用語を使わないといけない場面でも、丁寧にわかりやすく説明してくれているため、スラスラと読むことができました。

またわかりやすい例えやユーモアのある文体で非常に楽しく学ぶことができました。

Danke

衝撃でとても面白い

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非常に衝撃的で、とても面白い切り口からお話をされているなと感じました。 本書の構成としては、前半半分ではチューリングなどの例を踏まえてコンピューターやAIの歴史や性質を知り、後半からロボマインド・プロジェクトの内容について説明しています。「ドラえもんの心のつくり方」は第2巻以降で説明されるそうです。難しい内容のはずですが、著者の田方さんが話しかけてくるような文言になっているので、とても読みやすかったです。
衝撃的なのは、この世界が仮想のものであるという見方。自分には意識のある自分(表)と意識のない自分(裏)がいて、現実世界を生きているのは裏で、意識が見ているのは脳が作り出した幻想である、とのこと。確かに考えてみれば、他の生き物の見える世界を考えてみれば納得がいく論説です。思考の深さに尊敬を抱くと同時に、なぜかふとクリストファー・ノーラン監督さんも同じようなことを考えているのではないかと思ってしまいました。
最後に、本書では研究費用についても述べられていました。日本では成功するかしないかわからない研究にはお金が出ず、チャレンジングな試みがしにくく、Googleなどと差がついていってしまいます。でも、今のロボットができない、つまり人間に求められていることは、正解が決まっていない会話であるように、どうなるかわからないことに人間がチャレンジしないといけないですよね。田方さんは他事業の利益を研究費に回す自走的な研究を行っているようで、ぜひこれまでの慣習にとらわれないやり方で結果を残し、日本での研究に新しい風を吹かせてほしいです。

ぷーやん

精神世界まで理解できるロボットの心の話

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「空中の街があり、ロボットが人と交流し、空を自由に行き来する乗り物がある。幼い頃ドラえもんで見た21世紀はそんな世界でした。
着々と歳を重ね、現実に21世紀を迎え、その当時を振り返れば子ども心に21世紀は全てにおいて驚くほど進化を遂げた世界になっているだろうと想像していたことが分かる。
実際には目覚ましく進化を遂げたものとあまり変わっていないものがあり、変わらずにあるものへの変え難い安心感と残念な思いも交差する。
ロボットに関して言うなら、素人からすれば確かにあれから数十年経った今でも、あの頃想像していた人間型ロボットがいないということが残念な気もするし、ロボットが進化していずれは人間を支配してしまうという、あの頃誰しもが抱いていた漠然とした不安が現実でないことは喜ばしくもあります。
この本は、何故人間のように会話のできるロボットが未だ存在していないのか、その理由を順序立てて誰もが分かりやすく説明してくれていて興味深い。
そして、偶然に出会ったこの本が、かつて自分が興味のあった分野と余りにもリンクしていることを知り驚きの連続でした。
「哲学」、「今ココ」、「無意識の自分」、スピリチュアル系の話には必ずと言って登場する言葉を科学の最前線を紐解くロボットの開発の世界で普通に目にするとは思っていなかったのです。
そしてそれらの精神世界とも言える要素が科学と結びついているという事実が、新しい発見であり喜ばしい驚きで、どちらかと言えばオカルトのように思われてしまっている無意識の世界も、すべて科学で証明され、広く理解されて良いのではないかとより一層愉しみながら読むことができました。
意識と無意識を盲目の脳と眼球の仕事の違いを用いて見事に説明してみせている点、その点を含め無限に存在する人の感情を考えれば、人と本当の意味で対等に会話する、感情を無限に存在させるロボットが完成することは今後もないのではないだろうかという感覚に陥ってしまいます。
それはある意味で安心感とも言える感覚で、常に矛盾を孕んでいるように感じました。
しかし、それをも可能にする何かがあるというのです。
それは一体何なのか。
これからが真髄というところで終わってしまった。
ロボットの知識不要で理解を深めながら一気に読めます。
続編が大変楽しみです。」

長岡孝久

AIを勉強する際の入門書

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医療職として、脳の機能について勉強している者です。
尊敬する知人からの紹介で、購入しました。

「人と会話ができるAIをどうやって開発するか」が主なテーマだと思います。
歴史を振り返り、これまでのAI開発の問題点の整理から始まりますが、読み応えがあります。

文章は読みやすく、サクサクと読み進められますが、見慣れない言葉も多く出るため、理解しながら読むには、多少時間がかかるかもしれません。
しかし、AIについて勉強する際の入門書としては最適なのかと思います。

適度なタイミングで、冗談や笑える箇所もあり、飽きることなく読み進めることが出来ました。

AIが得意なものと、苦手なものを整理・理解することができました。
また、人がどのように会話を繰り広げているのか、会話を繰り広げる為の基礎になる脳の機能についても整理出来ました。

会話の基本となるモデルの解説は、非常に分かりやすく、腑に落ちるものでした。
感情と行動に関しても、心理パターンとして分類することで、AIが効率的に学習出来るという考えは、非常に論理的で、理解しやすいものでした。

今後、AIが社会的感情を学習していくことで、世界が変わっていく可能性があるとも触れており、SFの世界が現実になる可能性を考えてハラハラしました。

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