言語世界と仮想世界

言語世界と仮想世界

文を読んで、頭の中で世界を組み立てるとは?

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前回は、「単語」の話でしたので、次は、「文」について説明します。
文を解釈するとはどういうことでしょう?
それは、記号からなる言語世界を、頭の中の仮想世界へ変換するということに他なりません。

文は、構文に解析できます。
構文とは、「主語+目的語+述語」といった組み合わせからなります。
日本語の場合、構文は格助詞によって分割できます。
格助詞とは、助詞の中の「が」「の」「を」「に」「へ」「で」などです。

次に、頭の中の世界について考えてみましょう。
頭の中で考えるときは、イメージで考えます。
「太郎が、今日、学校の給食でプリンを食べた」といった文を読んだとき、その様子をイメージしますよね。
「給食」という言葉から、教室で、生徒の机の上にパンや牛乳やおかずが載った給食の様子がイメージされます。

これは、「給食」という言葉に、パンや牛乳を教室の机の上に載せて食べる様子が結びついているからです。
このことは、言葉の意味をどう定義するかで説明した、Has-aで表現できます。
たとえば、教室の机の上に、パンや牛乳やおかずが載った給食の3DCGモデルを構築しておくわけです。
そして、給食という単語から、3DCGモデルを呼び出すわけです。
つまり、「給食」という記号(言語世界)が、頭の中の仮想世界に変換されたわけです。

次は、「文」について考えてみましょう。
「文」の意味とは、いつ、どこで、誰が、どうしたといったことです。
これを仮想世界に構築する必要があります。
「いつ」「どこ」というのは、「時間」と「場所」からなる「場面」です。
「誰がどうする」は、その場面で起こった「出来事」です。
このことから、頭の中の仮想世界では、「場面」と、その場面で展開される「出来事」から構成されると言えます。

 

 

文は、構文に解析されます。
構文は、まだ、言語世界の段階です。
構文から、いつ、どこで、何が起こったかを抽出し、場面を生成した段階が、仮想世界の段階です。
意識は、仮想世界を自由に操作できるので、この段階が意味を理解した段階と言えます。
言語世界の段階は、文単位で管理されますが、仮想世界の段階では、場面単位で管理されます。

場面には、その場面に登場する人物などのオブジェクトが格納されます。
そして、その場面で起こった出来事を、登場人物、登場物オブジェクトを使って記述します。
その場面で、さらに次の出来事が起これば、場面に出来事を追加していきます。
これが、一つの場面です。

場所、または時間が変わると、新たな場面が作業空間に生成され、今までの場面は別の場所に一時的に保存されます。
この一時保存場所が、短期記憶となります。
短期記憶は、直近の場面をいくつか保存でき、意識からすぐにアクセスできるようになっています。

 

「桃太郎」の物語を例に場面生成について説明しましょう。
最初に作業空間に生成されるのは、「昔々、あるところにおじいさんとおばあさんがいました」の登場場面です。
「時」は「昔々」、場所は「あるところ」、登場人物は「おじいさん、おばあさん」となります。

次に、「おじいさんは、山へしば刈りに行きました」で、場所が山に移るので、新たな場面を生成し、最初の登場場面は、短期記憶に格納されます。
その次に、「おばあさんは、川へ洗濯にいきました」で、さらに場所が川に移るので、新しい場面が生成され、おじいさんの場面は短期記憶に格納されます。
このおばあさんの場面では、「川から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました」といった出来事が起こります。

このようにして、意識は、文章を読み込むごとに、場面を作業空間上に生成し、物語を場面単位で管理します。
一連の場面を長期記憶に格納することで、エピソード記憶(物語記憶)として記憶されます。
たとえば、「桃太郎」のキーワードで長期記憶を検索することで、桃太郎の冒頭の場面が見つかると、その場面を作業空間に配置します。

意識は、作業空間上の場面を認識、操作できますので、「桃太郎といえば、冒頭におじいさんとおばあさんの登場の場面があったなぁ」などと思い出すことができます。
「そのあと、どうなりましたか?」と質問されれば、次の場面を作業空間上に呼び出し、「おじいさんが山にしば刈りにいきました」などと答えることができるのです。

文章を読み込んで、構文解析し、作業空間上に場面として展開し、仮想世界を構築することが、文章の意味を理解するということです。
意味を理解できたかどうかは、人間と同じように答えることができることで確認できます。
質問に対して、人間と同じように答えられるということは、人間が頭の中で考えていることと同じように処理していると言えます。
このようにして、会話による自然なコミュニケーションを行うことができるようになります。

 

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