書評【貧困と脳】鈴木大介 脳が動かないとはこういうことだったのか!

書評【貧困と脳】鈴木大介 脳が動かないとはこういうことだったのか!

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鈴木さんは、10年程前、『最貧困女子』という本でベストセラーになりました。
低賃金で働く10~20代の女性のルポルタージュです。

取材すると、そんなことしてたら、そりゃ、最貧困になるってことがよくわかりました。

約束はすっぽかす。
借金の督促状は見ようともしない。
本当に助けてくれる人を信用しない。
その一方、怪しげなブローカーのいうことを信じる。

なんで、もっとちゃんとしないんだ。
なんで真面目に働かないんだ。
ずっと、そう思っていました。

そんな鈴木さんが脳梗塞で倒れてしまいました。
すると、以前のようにうまく頭が回らなくなりました。
レジで、買い物することもできません。
気が付いたら、かつて取材した彼女たちと同じ状況になっていました。

そうか、彼女たちは、こんな脳で生きていたのか。
こんな脳じゃ、この社会で生きていくなんてとても無理だ。
まして、働くなんて、とてもじゃない。

彼女たちは、決して、さぼっていたわけじゃありません。
働こうと思っても働けない脳になっていたんです。

苦しいのは、それを説明できないことです。
いや、たとえ説明できたとしても、同じ脳を持たないと、何を言っているのか理解できません。

どちらも経験した本人だからわかることがあります。
そんな貴重な体験記です。

 

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